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賃貸 神戸市のほっとするお話

いくら国策の推進がテiマであっても、かつて大蔵省証券局長通達が自粛を求めた、〈特定少数の銘柄の一律集中的な推奨〉にはちがいない。
また、「証券会社の健全性の準則等に関する省令」が禁じている、〈営業の方針として、特定かつ少数の銘柄の株式について、不特定かつ多数の顧客に対し、その買付けを一定期間継続していつせいかつ過度に勧誘し、公正な価格形成を損なうおそれのある行為〉である。 当然、大蔵大臣が証券取引法(五四条)にもとづいて、証券会社の〈三箇月以内の期間を定めてする業務の全部又は一部の停止〉を命じることができるものだ。

ところが、東証の「生き字引」の一人、岡田日本店頭証券業務部長でさえいっていたように、「いまは、Nがトップを走ってて、二番手に大蔵が走っているというくらい」なのだ。 Nを先頭に、国家的規模公正な価格形成を損なうおそれのある行為〉がつづけられている。
しかも、それはいまにはじまったで〈公正な価格形〉ではなかった。 セミナーの講師は、「注目銘柄」として、とりわけSを推奨したが、N証券を中心とした証券界は、こうした「注目銘柄」などを推奨し、その株価を操作してきた。
とくに最近、目立ったのは、大量の人員削減がともなう合理化計画の発表を境目にしたものだった。 その株価の動きを若干、見ておこう。
Sの一株額面五○円の株価は、八七年年初の一月五日が一六八円だった。 会社側は、同年二月一三日に中期経営計画を正式に発表し、労組に提案。
経営危機だというわけで、一万五○○○人にのぼる人員削減がともなうものだった。 ところが、この合理化計画を発表した途端に、株価は急上昇。
四月には四○○円となり、一○月一四日には四五四円となり年初の二・七倍となった。 さきの推奨銘柄一覧のコメントには、〈粗鋼生産増、市況の上昇、合理化の相乗効果で業績予想を上方修正、今期黒字化へ。
合理化終了の九○年度には経常利益一二○○億円の予想〉とある。 セミナーの講師は、「Sは今後の相場の中核的な存在」といった。
また、このころはすべての銘柄がまだ暴落の谷底にあったが、講師は「Sは唯一、最も早く戻した」ともいった。 N証券は、このSを買い上げて、他の銘柄を牽引するという波及効果を狙っていたのだ。

後述のN株のように、相場を引っ張る「指標銘柄」ともいわれる〈特定少数の銘柄の一律集中的な推奨〉(前出証券局長通達)であり、株価操作の常套手段だった。 Sの経営者は、従業員を追放するために「経営危機」という偽造情報を流してきたが、投資家向けには、N証券がまた別の〈有望銘柄〉とする景気のよい情報を流していた。
もちろん、Sは、これまでの儲けを株や土地などの資産としてしこたまためこんでいた。 今度の合理化発表の直前の八六年三月期の有価証券報告書の有価証券明細表を見ると、主要銀行各行、自動車メーカー各社のほか、N証券の推奨銘柄一覧にあるく有望銘柄〉がずらりとそろっている。
しかも、時価からみるとただのような安値で仕込んだものがほとんどだった。 たとえば、M銀行の額面五○円の株を、一時所有も含めて四○○万株も持っているが、取得価格は九三億七○○○万円であり、一株は一四円たらずで取得していたことになる。
だが、八六年のM銀行の株価は、最高値が取得価格の一四倍の一八五○円で、最安値でも一四一○円で二倍だった。 八七年には四月一六日に四三五○円の最高値をつけ、取得価格の三二倍以上となっている。
Sの所有株式のほとんどが、M銀行株と同様に帳簿上は取得価格となっており、時価とは大差がある。 所有株式の帳簿上の合計は一九六九億七四○○万円だが、時価を低めにその一○倍とみても、実際でいることになる。
Sは、東京湾横断道路の千葉県側の君津、木更津両市を中心に土地も買い占めている。 それがまた、東京湾横断道路計画のせいで急騰しつづけ、その資産額も急上昇している。
I重工の場合は、一株額面五○円の株価は、八六年の五月ごろは二○○円台で推移し、六月には三○○円台、七月からは四○○円台の高値をつけていた。 そして、会社側が、同年一○月一五日、造船不況を理由に従業員のほぼ三人に一人の割になる七○○○人の削減などの「緊急対策」を発表すると、一○月のうちに六六四円という最高値をつけた。
さらに、八七年六月五日には最高値を更新し七八○円となった。 推奨銘柄一覧のI重工についてのコメントは、〈周辺地域の再開発計画具体化、交通アクセス網の整備で豊洲工場(三八ヘクタール)の開発ポテンシャル高まる〉となっている。

事業より開発による資産価値の上昇で、〈国土創造〉のテーマに分類されていた。 Iも、土地ばかりでなく、膨大な株式をためこんでいる。
やはり合理化発表の直前八六年三月期の有価証券報告書を見ると、S同様に電力、銀行、自動車などの銘柄が安い取得価格で並んでいる。 帳簿上の合計は四一六億八四○○万円となっている。
しかも、平均取得価格を概算してみると、一株額面五○円でSより安い一二九円となる。 時価にすると一兆円前後になるだろう。
そして、八六年度は、偽造は二兆円という株式を所有していることになる。 株価が上がれば上がるほどその実際の資産価値が高まるわけで、M銀行の八七年の最高値並みの三二倍だとすると、六兆円近くもの資産を株式だけでためこん情報を流しつつ従業員を事実上の指名解雇で追放しているうちに、財テク利益で全国第五位に相当する五八八億六六○○万円を稼いだ。
N証券が推奨する銘柄の各社は、「大いに株も地価も上がれ」といったところだろう。 これも狂ったこれまでは、株式の流通市場を中心に見てきたが、株価が上がれば上がるほど、ただのようなマネーが大企業のふところに転がり込んでくるのが、株式の発行市場だった。
時価に近い価格で新株を発行する時価発行増資は、少ない株数で巨額の資金を調達できる。 投資家が払い込んだ金額のうち資本金に組み入れられるのは額面分だけで、残りはプレミアムとなり、、資本準備金として発行企業のふところに入る。
資本金には配当しなければならないが、資本準備金には配当の必要もなく、まる儲けとなる。 だから、時価が高いほどプレミアムは多いというわけだ。
たとえば、Sが額面五○円の新株を八七年の最高値四五四円を基準に発行するとしよう。 公募価格は基準の数%割り引いた価格が普通だから、四三○円で公募したとすると、その八八%以上の三八○円までがプレミアムとなる。

新株を五○億円発行すれば、四三○億円が入り、三八○億円はまる儲けという大変なことになる。 八二年一○月からは《払い込み金の半分以上を資本金に組み入れることになったが、配当も額面にたいするものであり、株価が高ければ高いほど、それだけプレミアムは多くなりシ資金コストも下がる。
公募価格は、新株払い込み日の株価そのものではなく、直近の一定期間や一定期日の株価の平均を基準国策のおかげであり、N証券の国策推進銘柄の推奨は、これらの国策大企業にとっても笑いがとまらないということになる。 ためこんだ資産は、ダダ同然の簿価のままで税金も逃れ、従業員の首つなぎに使われることもなく、国民生活の向上はそっちのけで、財テクに流れた。
また、カネ余りの大企業が財テクにマネーを投下するから、さらに株価や土地が上がる。


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